正しいメガネのずらし方

やくにたちそうでたたない

映画「シン・ゴジラ」を見て(ネタバレ含む)

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評判よさそうだったのと、庵野監督がつくる巨大怪獣見たさに近所の映画館にレイトショーで行ってきた。
うまくまとめたわけでもない感想だけど、思ったことをつらつらと綴ってみる。
(すでに見た人を想定している内容なのでいろいろネタバレしてます。)

www.shin-godzilla.jp

「シン・ゴジラ」は東日本大震災の再現か?

これは自分が見る前の推測だったんだけど、確か初代ゴジラは見た人が東京大空襲を連想させるよう作られていたと随分前に何かで読んでいて、とすると今回のゴジラは東日本大震災を彷彿とさせる内容かなと思ってみたわけだ。

これはまあ、半分はそうなのかなという結論だった。
地震の恐怖というよりは核の恐怖を再現している。シン・ゴジラ誕生の元も核の廃棄物が要因だし、政府の対応もかなり福島原発での日本の対応を意識的に対比させようとしている気がする。
あと、シン・ゴジラ第3形態がいったん去ったあとの東京の街並みはまんま震災後の瓦礫に埋もれた街を連想させるような光景だ。

映画の最後の方には除染のために戦車を洗っているシーンまである。
ニュースで報道されていた既視感のある場面だ。

第2形態が素晴らしい

今回特に感嘆したのはここ。
最初に地上に姿をあらわすゴジラは、まったくゴジラっぽくない。

なんか別の怪獣?ゴジラの弟分?とか思ってしまいそうなくらい変な形をしていて、這いつくばって蠢めく爬虫類の気持ち悪い化け物である。
長い首のエラから赤い(血液を連想させるような)体液を撒き散らして、目もむき出しでどこを見ているのか何を考えているのかわからない&読み取れない。
「言葉が通じない」感じがすごくよく伝わって来る生き物に仕上がっている。

「ゴジラ」と聞いて誰もが想像するフォルムのゴジラは、さらに2段階後にやっと出てくる。

にじみ出まくっている日本っぽさ

第3形態になってやっと自衛隊が出動し攻撃直前まで行くのだけれど、それまでの内閣の意思決定にいたるところと、結局近くにいた老人が発見されることで攻撃中止となるところなど、いかにも日本人っぽさが出ていて皮肉が効いてる。

他にもそのような日本らしいところが各所に散りばめられていて、もう苦笑しまくるしかない。

一番の見せ場!シン・ゴジラの咆哮

さすが庵野監督と言える、ゴジラの大暴れシーンだった。
日本(自衛隊)の攻撃ではまったく無傷のゴジラだったが、アメリカの攻撃ではじめて「今のは痛かった!!」というような顔色を見せ(それまで終始無表情に近いゴジラさん)、地面に顔を向けたかと思うと怒りの咆哮が始まる。

最初うつ伏せ状態では火焔だった咆哮は、顔を上げると放射線に変わり東京のビル群を寸断、そのまま顔を上げて米軍機を殲滅。最後真上を向いた状態で熱戦は再び火焔に変わり、息を吐き終わる。

そう、まさにこの一息で東京を火の海に変え、アメリカのステルス機を消滅させてしまう。

映画中シン・ゴジラの本気はほんの一瞬であったが、もはや全人類を滅ぼしかねない破壊力をもっていることに説得力を持たせるシーンである。
この辺の一部の力を見せてその全体像を想像させるというのは、同じ庵野監督が若いころ手がけた「風の谷のナウシカ」の巨神兵シーンを彷彿とさせる。

後半と結末のストーリーについて

シン・ゴジラの全力咆哮までは素晴らしかったけれど、その後の展開がうーん、、イマイチ盛り上がらずといった出来だった。正直なところ。

最後は日本が意地を見せて冷凍によるシン・ゴジラの停止を成功させ、再び核にさらされる(多国籍軍によるゴジラ抹消作戦)危機を回避する。

日本人としての心情的にはわかるシナリオなんだけど、主人公による冷凍作戦(ヤシオリ作戦)が悲劇的な失敗に終わり、最終的には多国籍軍による核熱放射によるゴジラ抹消で東京、いや関東一円がゴジラもろとも消滅、、、という方向の方が涙を激しく誘いつつ、映像的にも盛り上がってよかったんじゃないかと思うわけです。

その中での日本の頑張りというのも、泥臭い形ででも何か見せることができて、単純なハッピーエンドでもなくできたんじゃないかな。
あ〜、そっちが見てみたい。

ラストシーン、ゴジラの尻尾の意味

最後のシーンでゴジラの尻尾がアップになって映るんだけど、そこに人間のような形のものが見えるらしい(自分で見た時はまったく気づけず、、)。

おそらくいろいろと憶測を呼ぶように作られたシーンなんだろうけど、一番まともというか、自分でも納得せざるをえない解釈を選ぶなら、その人間(骨みたいなものがうつっているらしい)はシン・ゴジラの生みの親である、教授のものということではないだろうか。

そう、映画最初のシーンで発見される小さい船に最後の痕跡を残した行方不明となっている教授だ。

結局最後まで教授の遺体らしいものは出てこないので、自らの身体を苗床にしてシン・ゴジラを作り上げた、ということではなかろうか。 そして最終的には教授の遺骨は尻尾に残っていたのだと思う。

これで映画冒頭の謎「教授はどこに消えたか」が最後に解決となる。

最後に

ということで思いついたことを列挙してみました。

なんにしてもゴジラの恐怖の見せ方やシナリオについては結構繊細な部分でもあるため、解釈などいろいろと物議を醸しているところでとっても良い映画だな〜と思います。

続編、あるといいですな。

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